🌎 アメリカ1980年代――傷だらけの夢と再起動
ベトナム戦争後、アメリカはまだその傷跡を癒しきれていなかった。
ランボーがスクリーンで戦い続け、ヒッピーたちの反戦の歌声は過去のものとなり、
経済は低迷、映画もカラーテレビに押されて斜陽を迎えていた。
だが、ルーカス、スピルバーグといったインディー出身のクリエイターが光を放ち始め、
スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツが起業した時代。
そしてレーガン大統領が「強いアメリカ」を取り戻そうと掲げ、
アイデンティティの再定義が始まった。
そんな混沌の中で現れたのが、マドンナとシンディ・ローパーだ。
- マドンナは強さと自己演出の鬼。女性の自立と性的表現の再定義。
- シンディは純真で天真爛漫な生命力。カラフルでユーモアと希望を持つトリックスター。
🇯🇵 日本1980年代――経済大国の影と少女たち
一方、日本はバブル景気へと突入し、経済絶頂を迎えようとしていた。
「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われ、世界中をマネーで買いまくった時代。
だがその裏には、拝金主義、受験戦争、自殺、体罰、暴走族といった社会問題が渦巻いていた。
- 「レールに敷かれた人生は幸せなのか?」
- 「お金さえあればそれでいいのか?」
そんな鬱屈した空気の中で、
少女たちは純真さと欲望、罪と罰の間で揺れていた。
その空気を全身で背負い、時代を生き急ぐかのように歌い駆け抜けたのがNOKKOだ。
彼女のリリックには、日本の少女たちの葛藤が生々しく刻まれていた。
🌸 三人の巫女性――時代を超えて響くシンクロニシティ
マドンナ、シンディ、NOKKO。
3人の巫女性は異なる場所で、だが同じ時代に生まれ、
それぞれの国の少女たちに「新しい私」の可能性を示した。
- マドンナは強さを
- シンディは天真爛漫さを
- NOKKOは傷つきやすさと自己破壊の美しさを
その歌声に宿し、世界に解き放った。
これは偶然ではない。
シンクロニシティ――同時代の三人の巫女性の物語。
🪞 次回予告
次は90年代から2000年代。
ビヨンセ、ビョーク、そして安室奈美恵――
肉体と魂、理性とカオスが交錯する巫女性たちが登場する。
