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青春の季節、画家志望の美女とのプラトニックな同棲生活とジンジャーエールの儚い想い出

僕の半生の甘酸っぱい恋というか、とあるゾクッとくるほどの美女との儚い青春の1ページを振り返っておこうと思います

25年が経ったので、この昔話は、もう時効でしょう、、、少し奇妙で切ない長話しをさせて下さい

プロローグ 出会いの季節 夏が始まる頃

2000年6月、、、梅雨が開けて蒸し暑くなってきて、もうすぐ夏

日差しが強い大学のキャンパスで、おしゃれな帽子を深く被った背の高い見知らぬ女性に急に声をかけられた

「Iくんですよね?あの、、、映画とかやっているひとですよね?

同学年だね、はじめまして、、、初めてなんですけど、、、私は知っているんですけど、、、知っているというか、あの、、、このひとならって、わかったんですけど、、、あの、、、急でごめんなさいなんですけど、、、今から私の部屋に来てくれませんか?」



ハスキーで憂いのある声の主は びっくりするような美人だった

黒髪、ロングヘアー、背が高い、、、スレンダーというか、、、手足が長い

切れ長の目、、、クールな印象、雪女のような美女、グッと見つめてくるけど寂しげな影のある表情

綺麗すぎて、でも冷たそうで近寄りがたい存在感、おしゃれ、、、いや、、、アート系??

とにかく、、、すれ違ったら誰もが振り返ってしまうような美貌とオーラをまとっていた

「知り合いに聞いたんですけど、Iくんはモテるみたいですけど、今はフリーだと聞いたんですけど、でも、チラホラ、いろんな子がご飯作りに来てくれるみたいだけど、すごいね、、、それで、、、急で悪いんだけど今から私の部屋に来て、モデルになってくれないかな?」

急な提案に「な、なんじゃ?」と僕は思ったけど、、、突然過ぎて全くわけわからないけど、本能的に断ったらこのヒトとの運命の何かを放棄してしまう気がしたので、、、案内されるがままに彼女の部屋についていくことになった

僕「キレイな鉄筋のアパート、まあ、当然、、、一人暮らしか、、、彼氏は居ないのかな?

あれあれ?部屋の中は意外と殺風景?

パワーストーン?アクセサリー?セクシーな下着?おしゃれな服、コート、ジーンズ、酒、、、タバコ、、、絵の具?油の匂い?」

彼女が言った

「こっちだよ!あの、、、そこのベッドにズボンを脱いで寝転がって! それでね、、、この安全カミソリでね、Iくん自身のすね毛をそってね!それで、しばらく寝てて、ビデオカメラ回すから、逃げないでね

いま、気がついたけど、私のこのベッドに男が寝たの初めてだ!(笑)

はい、おわり!あのさ、時間ある?私、絵を描いているんだけど、みてくれる?

感想ある?」



僕は絵の印象を正直に、丁寧に、熱心に語った

彼女は「うわ〜、こんなに真剣に情熱的に他人から感想をもらうことなんて、私、経験なかったから、マジでドキドキした〜!」とはにかんだ

「、、、あのさ、聞いたんだけど、I君の部屋って大きいんだよね、部屋数余裕あるんだよね?私ね、あんまり、自分の部屋に居ないんだよ。いろいろあってさ、家賃がもったいなくてさ、、、」

僕は「じゃあ、僕の部屋来る?」と冗談で言ってみた

「あはは、、、考えとくよ!」彼女は笑って応えた

運命の奇妙な歯車はある日突然、動き出す

数日後、突然、夜に僕の部屋(実は一軒家、古民家をリフォームした感じの物件、学生時代はあえてそんなところに住んでいました)の玄関のドアをドンドンとノックする音が響いた

彼女だった

「どうしたの?」

「あの〜、、、いま、部屋を引き払ってきたから、家財道具も冷蔵庫も処分したから

今夜からこの家に住まわせて もう、、、戻るところないから、捨てないでね!」


なんという急展開 と、いうわけで、、、何がなんだかわからないまま、押しかけてきた彼女と同棲?同居?することになった

今風に言えば、ルームシェアなのかな?どうなのかな?どうなんだろ、、、

そもそも、僕もこの前、うちに来る?と言った手前、断ることは出来なかった


彼女から提案があった(以下、Kと表記)

K「あの、、、この玄関を上る前に取り決めしておきたいんだけど、、、」

僕「はい?」

K「一緒に住むけど彼氏面(づら)しないこと、、、いちおう私、遠距離でご無沙汰だけど、彼氏いるんで」

僕「は、はあ、、、」

K「ご飯は作りません、勝手に各自食べること」

僕「は、はあ、、、」

K「家賃は半分ずつ折半」

僕「は、はあ、、、」

K「お風呂は覗かない、私の部屋は覗かない、部屋に鍵つけていい?」

僕「は、はあ、、、」

K「お互いにお互いの生活には干渉しない、私もあなたの女性関係は気にしない、ふたりは外に出たら他人でいること」

僕「は、はあ、、、」

K「よし!じゃあ、これからよろしくね!」

彼女が握手してきた




こうして6ヶ月間の奇妙な同棲生活?が始まった

K「お風呂入りたいんだけど、、、何にもないんで、、、荷物後日にドカッと届くから、今夜はタオル、下着、シャツ、、、伊藤くんのヤツ着るからお願いね」

K「あと、布団もないので、今日は、伊藤くんの寝るところを貸して下さい」

僕「は、、、はあ、、、じゃあ、あの、、、僕、リビングで寝ますね」

K「あははは、、、やっぱりね、よかったよ!女の勘は当たるんだよ、私は直感だけは鋭いんだよ」

K「Iくんだけは、ぜったいに私に酷いことはしない、、、これからもずっと私に酷いことはしないって思ってたんだ」

K「あなたのことを舐めてるとか、そういうことじゃないんだよ、、、尊敬してるし、、、解ってほしいんだけど、、、信じてるんだよ」



翌日から、彼女の私物、荷物がどんどん届いた

画材、絵、ビデオテープ、カメラ、マスカラ、ネイル一式、化粧品、下着、コート、ワンピース、服、服、服、、、布団、ベッド、、、

リビング以外で一番広い部屋を彼女に提供して、そこに鍵をつけて、僕は一番狭い部屋に移動した

K「今日は一緒に役所に行くよ、、、住所の手続きしなくちゃ、、、なんか新婚さんみたいだね(笑)」

K「でも、帰りは別々に帰るよ、、、恋人じゃないからね」

ふたりぐらしの実態

ほんの数日で、リビングは彼女に占領された

マスカラ、ネイル、口紅、、、化粧品がテーブルの上を占領し、服やストッキングや下着も脱ぎっぱなし、

画材も油絵もイーゼルも白いキャンバスも、、、全てリビングに置かれた

あっという間に僕の独り暮らしの住まいのほとんどは、彼女のアトリエになってしまった

暑いなあ〜と言って、扇風機も取られた

服装もどんどんゆるくなってきて、、、一週間経った頃にはリビングで平気で下着姿、薄いタンクトップ一枚、風呂上がりはバスローブ姿でウロウロするようになった

お酒も飲むし、タバコはバカバカ吸うし、灰皿は彼女の部屋とリビングにひとつずつ置かれた



タバコは彼氏のマネをして覚えたらしかった

そんなにバカバカ吸うと流石に健康に悪いんじゃないの〜、、、あと部屋の天井もヤニがべっとりになるからさ〜、ここ賃貸物件だし、、、と小言を言うと

タバコを辞めたら、彼氏との縁も切れちゃう気がして止められないんだよね〜とニヒヒと笑って話をはぐらかせるのが常だった

引っ越して来て2週間が経って落ち着いてきた頃、彼女が乾杯しようと言ってきた

K「お疲れ様!やっと落ち着いてきたね〜、まあ、一杯やりましょう、、、Iくんはお酒が苦手だから、ジンジャーエールね、好きなんでしょ?」

K「じゃあ、末永く幸せで居られますように!」

こうして二人で乾杯して、、、この先どうなるのかはまったくわからないけど、とにかく謎の同棲生活?が本格的に始まった


本当に家では、ふたりでグダグダしているのだが、お互い外では全く接点がなかった

流石に知人や友人にはバレていて、Iくんの家からすごい美人が出てきたの見たんだけど、、、付き合ってるの?と度々聞かれる度に、

僕「う〜ん、、、、そういうのではないんだけど、、、何か一緒に住んでいるんだけど、、、う〜ん何なんだろうね?」と答えに困った


彼女はお金を稼ぐために水商売のバイトをしていた

K「学費や将来のお金を稼ぐために、こういう仕事している女の子、いっぱいいるんだよ〜」

K「しつこいお客さん、、、結構いて、、、私生活まで関わってこようとするから、マジ嫌なんだよ」

K「私は絵の推薦で大学に来たから、、、伊藤君と違って頭良くないから、私には絵しかないから、、、お金が必要なんだよ」

K「私は写真の写り良くないから、表に出るのは絶対に嫌だから、Iくんが前に出なよ、、、私が裏方やってあげるから、そうしなよ、だから私の写真は撮らないでね」


僕は彼女ほど周りが後退(あとずさ)りするほどの美人なら、人生どうとでもなるんじゃないの?と当時は思っていたが、

そういうことではなかったんだと思う

彼女が言っていた「絵しかない」というのは、生活手段のことではなく、もっと深い意味での自分の存在意義ということだったんだと今は思っている

育(はぐく)んだ時間 現実と真実のはざま

水商売をしている彼女は深夜や明け方に帰ってくることも多かった

酔っ払って玄関で倒れていることも

よくリビングで寝落ちしていた事もあった

最初はリビングで寝ている彼女に布団をかけていたが

次第に彼女をベッドまで運んで、ベッドに寝せて布団をかけるまでが僕の役目になった

彼女は鍵を部屋につけていたが、鍵をかけたことは一度もなかった


彼女はシラフでは無口でミステリアスな雰囲気の女性だったが

「ただいま」と「いってきます」と「おやすみなさい」と「おはよう」は必ず僕に声を掛ける女性だった

彼女と僕は生活時間が異なるので、あまり一緒の時間を共有することは無かった


でも一緒にいるときは何をしていたかと言うと、彼女が絵を一心不乱に描いているのを眺めていたり、彼女が見てほしいという絵の資料や前衛的なアートのビデオテープなどを一緒に鑑賞していたりした

K「(作品制作の舞台裏は)誰にでも見せるわけじゃないんだよ、見て欲しい人だから見せているんだよ」が彼女の口癖だった

彼女は彼女のおばあちゃんが大好きだった

東北の寒い田舎の出身の彼女の唯一の心を許せる肉親は、おばあちゃんだけだった

おばあちゃんに楽をさせることが彼女の人生の目標のひとつだった

夏が過ぎ秋が深まり、季節は巡り、冬が近づいてきた

彼女が石油ストーブを買って来て、点火して、オレンジの炎をふたりで眺めて手をかざして「お〜!これは暖かい!」とはしゃいだりしていた

石油ストーブの灯油を彼女がぶちまけてしまい、二人で、雑巾で灯油を拭きまくって、2〜3日部屋中が石油臭くて窓を開けっ放しにして、室内なのにコートやダウンで過ごしたときもあった

冬が始まる 冷たい夜の雨

ある冷たい雨が降っていた夜

帰宅した彼女は泣いていた

連絡がしばらく途絶えていた彼氏に突然、別れてほしいと言われたとのことだった

僕はとにかく、このままでは風邪を引いてしまうから、お風呂を沸かしておいたから、ゆっくり温まって寝たほうがいいよと言った

彼女はお風呂上がり、相変わらずのめちゃくちゃ薄着のラフな格好のまま、パジャマに着替えもせずにベッドに入ってしまった

深夜過ぎに突然、僕の部屋の戸がガラッと開いて、彼女が疲れたから肩を揉んで欲しいと言ってきた


電気はつけなくていいからリビングで肩を揉んで、、、というので、そのとおりにした

彼女の肩を揉んで、、、僕が感じたことは、、、

「あああ、、、、こんな、か細い華奢な肉体で、今まで独りで頑張ってたんだな」ということだった

肩、頭、首、腕、指

ほんとうに時間をかけてちゃんと、優しく揉んだ

K「ありがとうね、、、もう大丈夫だよ、寝るね、、、ほんと、伊藤くんは私に酷いことはしないんだね、、、おやすみなさい、、、今日は鍵をかけて寝るね」


その後、しばらくしてクリスマスの前に

彼女は引っ越していった

僕と彼女に何か喧嘩があったとかではなく、外的などうしようもない理由だった


彼女の引っ越し先を探し、費用を全て工面し、冷蔵庫も購入し、引越し後の彼女の家賃も2ヶ月は僕が前金で支払った

そこまでしなくていいよ、、、と言われたが、、、僕がそうしたかったのだから仕方がない

エピローグ ジンジャエールの味

あれから25年が経った

いま、考え直しても、、、本当に奇妙なふたりの生活だった

恋人でもなく、ただの同居人というにはちょっと馴れ馴れしすぎて

周囲には内緒で、いつか終りが来るかもとおもいつつ、いつまでも続くかなとも思っていて

彼女が居なければ、絵画や前衛芸術には興味が、その後の人生でも接点がなかったままかも知れないし、


外見の美貌とクールな雰囲気とは裏腹に、ぶっとんでて、

めちゃくちゃな女性だったけど、

彼女のおかげで、僕の許容範囲が広がったのも事実だし、

どんな近寄りがたいほどの美女でも、内側は本当に独りの弱い人間だということが痛感できたことに、

その経験をさせていただいたことに、心から感謝しています

彼女に告白していたら
彼女と付き合っていたら
どんな未来になっていたのかと

タラレバの未来は、ずっと僕の中では、あえて考えないようにしています

僕にとって、不思議だけど、本当に学びになった女性です

今でも、ジンジャーエールを喫茶店で注文して飲んだりすると、たまに彼女のハスキーで冷たい淋しい声と憂いのある表情をふと思い出したりします

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