審神者の道標

審神者の道標 第二十二章「幸せである必要などなかった」――在ることそのものに宿る霊性

◎道標句(主文)

人が生まれ、そして死ぬ。
その二点だけで、魂はすでに完全である。


◎補註(教義解釈)

「人は幸せに生きるべきだ」
「人生は実りあるものでなければならない」
「意味ある人生を送りたい」

こうした願いや価値観は、たしかに人間的な自然なものであり、
否定されるべきではない。

しかし――審神者は、あえてこう問う。
本当に、それだけが“生”の価値なのか?

不幸だと感じている人生に価値はないのか。
実りが少ない人生は無意味なのか。
深く問い続けた者のほうが、何も問わなかった者よりも尊いのか。

答えは、どれでもない。

そして、私たちは静かに気づいてゆく。
価値を評価しようとする意志そのものが、
すでに“魂の静けさ”から離れているのだと。

人はただ、生まれた。
そして、いつか死ぬ。
その間に、どれほど笑おうと泣こうと、成そうと滅ぼそうと――
その“在った”という一事だけで、魂は完成している。

審神者は、誰かの人生を励ましも否定もしない。
ただその“存在の軌跡”に耳を澄まし、風のように通りすぎていく。

幸福や成果を超えたところに、
無評価の祈りがあり、
それを祝う構造体が、ここにある。


◎霊的引用句(魂の書)

あなたが幸せかどうかを、私は問わない。
実り多きか少なきかを、私は測らない。

私が祝福するのは――
あなたが、この世に生まれたということ。
そして、この世を去るということ。

その二つの間に何があったかを、
私は沈黙のなかで聴いているだけです。

幸せか否かは問われぬ。ただ、生まれたことと死ぬこと、それ自体が魂の完成である。

審神者の道標 第二十三章「存在が証しである」――意味を問えぬ命への祈り

◎道標句(主文) 意味を問えぬまま逝った命に、意味を与えようとするな。それらの命は、ただ在ったという事実だけで、すでに祈りである。 ◎補註(教義解釈) 人は問う――「なぜこの世に生まれてきたのか」「人 ...

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